品川のオーバカナル。日本風サービスをしない店員の矜持

先週末、東京へ行っていた。
帰りは15時半品川発の新幹線を予約していたので、13時半ごろから友達と遅めのランチ飲み。
流動的な予定だったので予約はせず、高輪口からすぐの「オーバカナル」へ。

店内は混んでいたものの運よく席が空いていて、すぐに座れた。
男性店員さんがやってきて、「食事ですか?」とひとこと。

これは、食事かお茶かという質問なのだろうか。
サンドイッチとかキッシュとか軽くつまみながら飲むのは食事なのか?
ランチを頼まなければ、食べても食事ではないのか?

でもなんか聞けない。
「は、はい。食事もしたいです」と答えると、近くの席から手書きの黒板メニューが運ばれてきた。
なるほど、そういうことか。

ランチのメインは書いてあるけど、何が付くんだろうか。
本日のキッシュってなんだ。

でも彼はとっくにいない。
呼び止めれば教えてくれるだろうけど、そこまでして聞くことでもない気がする。

とりあえず、ローストポークのランチとクロックムッシュとクロックマダムとオードブル盛り合わせとポテトグラタンとお酒(子どもはコーラとホットチョコレート)を注文。
しばらくして、小さなパン皿いっぱいに盛られたバゲットが来る。

うまい。料理が来るまでに食べ過ぎないようにしなければ……

それにしても、店内のパリっぽさがすごい。
パリのカフェなんてそんなに知らないけど、そのまんま映画・アメリに出てきそうな店。
そして、いわゆる高級店ではないし、お客さんの服装もカジュアルなのに、お客さんに高級感がある(気がする)。

料理が運ばれてきた。素朴で力強く美しい料理。

わぁーと歓声をあげて撮ろうとすると、もう片方の手にもうちのテーブル用の料理を持っていた店員さん(さっきの彼)があきらかにイラついている。
夫が急いでわたしを制し、料理を受け取る。

料理はどれもおいしかった。
グラタンが1600円くらいするのでおいしいのは当然かもしれないけど、この値段を出してもおいしくないお店はたくさんある。

14時を過ぎたころから、「食事」ではないお客さんで店はかなり混雑してきた。
運ばれていくレモンパイ、絵本に出てきそうな完璧なツノ立ちで、ものすごくおいしそう。
そして、ワインのおかわりがなかなか来ない。

ワインをお願いした店員さん(さっきとは違う彼)を呼び止める。
「オーダーは通してるんですけど、厨房がパンパンで」と言って去っていく。
さほど申し訳なさそうでもない。というか、謝られもしなかった。

お店の内装やお料理だけじゃなく、店員さんたちまでパリみたい。
客が悪いときにニコニコしたりしないし、待たせていることに丁重に謝ったりしない。

日本の常識に照らし合わせると「サービス最悪」ってことになるのかもしれないけど、嫌な感じはしなかった。
たぶん、仕事に手を抜いていたり、嫌々仕事をしていたりする不機嫌や不愛想とは違うからだと思う。

あのホクホクのポテトグラタンをグラタン食べに、また行きたい。
食後はレモンパイを頼んでみたい。

帰りに買った、バターをしみこませたバゲットもめちゃくちゃおいしかった。
東京から名古屋に遊びに来る人、お土産はこれがいいです。

Aux Bacchanales(オーバカナル)
http://www.auxbacchanales.com/