歯医者さんが好きだ!


5歳の息子に、小さな虫歯ができてしまい、歯医者へ行った。
3ヶ月に一度のリンゴ味フッ素は嫌がる息子だが、虫歯治療ではリラックスして口を開け、心なしか嬉しそうにさえ見えた。

帰り道で、聞いてみた。
「もしかして、歯医者さん、好き?」
「うん。リンゴのは苦手な味だから緊張するけど、シューシューしたりするのは大好きだった」

!!!

実はわたしも、歯医者が大好きなのだ。
歯医者が世間では嫌がられる存在だと気づいたのは、大人になってからだったと思う。

こんなことまで遺伝するのか……
と感慨にふけりながら、歯医者の何が好きなのかを改めて考えてみた。

ゾゾゾゾゾーッと溜まった唾液を吸われるやつ。
とにかくあれが好きだ。家に欲しいくらい好き。
でも目的はよく知らない。患者の不快感を軽減するための処置?

息子もお気に入りの、風を当てるみたいなやつもいい。
乾かす目的のような気がしてたけど、よく考えるとあの程度で乾くのかどうか自信がない。

針金みたいなやつでカリカリされるのも好き。
老後もおいしく飲み食いするためにと、たまにガッツリ歯石除去をしてもらいにいくけど、あのイタ気持ち良さは足裏マッサージに通じると思う。
カリカリするやつ、いっぱい並んでるけど、太さが微妙に違うのか次々交換していくのかは知らない。

と、書き連ねてみて、未知な感じも好きなのかもしれないと思った。

口内を治療されているせいで、歯医者では治療中に世間話的な会話はできない。
ときどき噛まされるフィルムみたいなやつとか、歯と歯の間に挟まれる金属シートみたいなやつとか、飲食店であれば「それなんですかー?」と気安く聞いてしまいそうなそれらは、近すぎて焦点が合わないままに通り過ぎていく。

すぐ近くのトレイに並べられている小さなガラス瓶みたいなのも、たまに登場する新兵器みたいなのも、じっと見ることはできない。

あの白く清潔な空間での、完全に受け身でとても近しいのに未知な空気感も好きなのだ。
かといって、機会があればじっくり教えてもらいたいかというと、全然興味はない。
歯科医師や歯科衛生士になりたいかといえば、「壮絶に息くさい人来そうでイヤー!」だ。
歯科助手のパートに応募しようと思ったことも一度もない。この距離感もまたいい。

抜歯や麻酔やしみるのは、さすがに人並みに怖いが、誰しも欠点はある。
それらは、歯医者を嫌いになる理由にはならない。彼氏の全部が好きってわけではないのと同じ感覚だ。

息子の反応がきっかけで、自分の歯医者愛に改めて気づいてしまった。
賛同者は少ないかもしれないけど、好きだー!

★★★

ついでに書くと、わたしが初めて歯医者に行ったのは2~3歳くらい。
わたしは兵庫県加古川市に住んでいて、バスと電車を乗り継いで隣の姫路市まで行っていた。

40年前の加古川がいくら田舎だったといえ(今も絶賛田舎です)、歯科医院くらいは近くに数軒あった。
治療が痛かった記憶はないが、わざわざ行くほどの名医だったとも思えない。

20代だった母はなぜ、幼い子どもたちを連れて遠く姫路まで行っていたのだろう。
舅姑との3世代同居の田舎で、「歯医者へ行く」は貴重な時間だったのかもしれない。
もしかしてもしかすると、あの歯科医と不倫でもしていたのかもしれない。
40年経って思い至ることもある。

とはいえ、そのちょっと特殊な体験が歯医者好きにつながった…とは思わない。
上の娘と歯医者好き息子を見比べても、口を開けるときの緊張度が全然違うので、持って生まれたものなのかなと思う。

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